「どんな物件を選べばいいんだろう」
不動産投資を始めようと思った最初のころ、私はずっとこの問いに行き詰まっていました。アットホームやSUUMOを毎日開いては、「これは良さそう」「でもこっちも気になる」を繰り返すだけ。判断の軸がないから、どれを見ても決め手がない。
変わったのは、「物件ではなく、借り手から考える」という発想に切り替えてからでした。
教員16年目の私が実際に使っている物件選定の基準を、具体的な数字とともにお伝えします。「条件の絞り方がわからない」「良い物件かどうかの判断基準がない」と感じている方に、ぜひ読んでほしい内容です。
基準① 物件より先に「借り手」を考える
不動産投資で最初につまずく人の多くは、物件そのものを見ることから始めます。「この物件は安い」「この物件は状態がいい」。でも、それだけでは判断できません。
私が気づいたのは、不動産投資の本質は「入居者に選ばれる物件を買うこと」だということです。どれだけ安く買えても、誰も住んでくれなければ収益はゼロです。
だから最初に考えるべきことは「物件探し」ではなく、「この物件に誰が住むのか」です。
- このエリアに住むのはどんな人か(ファミリー?単身者?高齢者?)
- その人たちはどんな間取りを求めているか
- 月いくらなら払えるか
この3つが頭に入ってから物件を見ると、「この物件はファミリー向けに使えるか」「この間取りは需要があるか」という視点で判断できるようになります。借り手のイメージが先、物件はその後です。
基準② 借り手が決まれば家賃がわかる。SUUMOで相場を調べる
借り手のイメージが決まったら、次にやることは「その人がいくら払えるか」を調べることです。これが家賃の設定になります。
私がやっている方法はシンプルです。SUUMOで「買おうとしているエリア×間取り」で検索し、出てくる賃貸物件の最安値と最高値を確認する。
例えば、地方の3DKの戸建てを探しているとします。SUUMOで調べると、そのエリアの3DKは最安4万円・最高7万円だったとします。このとき私が設定する家賃は、中間(5.5万円)より少し高めの6万円前後です。
なぜ「少し高め」にするかというと、入居者から家賃交渉が入ることを見越しているからです。「5,000円下げてほしい」と言われても、最初から6万円に設定してあれば5.5万円で合意できる。最初から5.5万円にしてしまうと、交渉の余地がなくなります。
家賃の設定は「相場の中間より少し高め」。これが私の基準です。
基準③ 家賃が決まったら「買える価格」を逆算する
家賃が決まったら、次は「利回りから購入価格を逆算する」ステップです。ここが物件選定で最も重要な部分です。
私が目安にしている表面利回りは15%以上。計算式はこうです。
年間家賃収入 ÷ 購入価格 × 100 = 表面利回り(%)
先ほどの例で計算してみます。
- 月家賃:6万円
- 年間家賃収入:6万円 × 12ヶ月 = 72万円
- 利回り15%にするための購入価格:72万円 ÷ 0.15 = 480万円以下
つまり、「月6万円で貸せる物件なら、480万円以下で買えれば利回り15%を達成できる」ということです。
ここで大切なのは、「価格ありき」ではなく「収益ありき」で考えることです。「安いから買う」ではなく、「この価格で買えば利回りが出るから買う」という判断をする。
物件の価格を見て動くのではなく、収益の計算を先にやってから物件を探す。これだけで、物件選びの迷いが大幅に減ります。
基準④ 構造・築年数・リフォームコストで絞り込む
利回りの計算ができたら、次は物件の状態で絞り込みます。私が使っている3つのフィルターはこれです。
旧耐震基準の物件は避ける
1981年以前に建築確認を受けた物件は「旧耐震基準」です。これは現在の耐震基準を満たしていない可能性があり、入居者の安全面でリスクがあります。また、融資を受ける際に不利になるケースもあります。私は旧耐震の物件は最初から検討対象から外しています。
築年数は40年未満を目安に
「築古でも安ければいい」という考え方もありますが、私は築40年未満を一つの目安にしています。築年数が上がるほど、水回りや屋根・外壁などの修繕する必要が多く、コストが重なることが多いです。
もちろん、築年数が上がっていてもリフォームする必要がなければ築年数が40年以上でも買いますが。ですが、利回りが高くても、リフォーム代がかさんで利益が吹き飛んでしまっては意味がありません。
大型リフォームが必要な物件は避ける
特にトイレとキッチンは要注意です。トイレの交換は10〜20万円、システムキッチンの交換は50〜100万円かかることもあります。これだけで利回りが一気に下がります。
最近はリフォーム費用全体が高騰しているので、「買えば安い」だけで判断しないことが大切です。
内見の際に「トイレ・キッチン・お風呂がきれいか」を必ず確認することです。私は、キッチン・トイレ・お風呂がきれいなら築年数が40年近くても買います。
築年数は、あくまでも検索する際の目安であって、丁寧に使用されている物件は、築年数が経っていてもきれいなこともあります。
逆に言えば、築年数が浅くても、トイレ・キッチン・お風呂のリフォームが必要ならば見送ります。
基準⑤ 地方物件は「駐車場2台」と「外観」が決め手になる
最後の基準は、地方特有の話です。地方では車は生活必需品で、夫婦ともに1台ずつ所有しているケースがほとんどです。つまり、駐車場が2台分ある物件は、地方では強力な差別化になります。
私が実際に保有している物件でも、「駐車場2台あります」というだけで、他の条件が少し見劣りしても内見希望が来ます。逆に駐車場が1台しかない物件は、ファミリー層にとって「選択肢から外れる」理由になってしまいます。
そしてもう一つ、見落とされがちなのが外観・写真映えです。
今の入居者探しはSUUMOやアットホームの写真で第一印象が決まります。どれだけ内装がきれいでも、外観の写真が暗くてぼろっとして見えると、内見すら来てもらえません。
主観かもしれませんが、私の経験上、すぐに決まる物件は外観の写真がいいものばかりです。
物件を見に行くとき、私は必ず「この外観は写真に撮ったら魅力的に見えるか」を意識します。外観が古くても、花壇があったり、玄関まわりが整っていたりするだけで印象は大きく変わります。
まとめ:基準が決まれば、迷いがなくなる
最初は「どんな物件を選べばいいか分からない」という状態でしたが、基準が決まってからは物件探しが一気にスムーズになりました。
私が使っている5つの基準をまとめるとこうなります。
- 借り手のイメージを先に決める(誰が・いくらで住むか)
- SUUMOで家賃相場を調べ、中間より少し高めに設定する
- 利回り15%以上になる購入価格を逆算する
- 旧耐震NG・築40年未満・大型リフォーム不要を条件にする
- 地方は駐車場2台と外観の写真映えを重視する
もちろん、これが唯一の正解というわけではありません。でも「判断の軸」があるだけで、物件を見たときに「これは合格」「これは見送り」と即座に判断できるようになります。
迷っている時間も、エネルギーです。基準を決めて、動いていきましょう。
この記事を読んだあなたへ:次の一歩
まず、自分が投資したいエリアの賃貸相場をSUUMOで調べてみてください。
「3DK 〇〇市」で検索するだけでOKです。最安と最高を確認して、「自分ならいくらで貸せるか」をノートに書き出す。それだけで、物件探しの第一歩が始まります。
「良い物件」を探すより、「基準を決めてから探す」。この順番を変えるだけで、物件選びは変わります。

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